2006年
- 京論壇立ち上げ
- 2005年4月の反日デモ・中国の経済成長など、日本でも中国関連のニュースが簡単に手に入る今、日中の学生は少なからず両国に対する関心を持つようになっています。しかしながら多くの情報をテレビ・新聞など間接的なメディアに頼らざるをえず、若者の間にも多くの誤解が存在しています。例えば2005年にChina dairy・人民日報・北京大学・言論NPOが協力して実施した、北京大・清華大などの中国のエリート大学生を対象にしたアンケートによると、『日本を主導する政治思想は?』という質問に対し、74%が民族主義、56.8%が国家主義、52%が軍国主義と応えています。
このような誤解を生まないためには、直接交流をし、素直に意見を言い合い、相互理解と信頼醸成をすることが重要だと考えました。しかしただ日中の若者が顔を合わせれば、相互理解と信頼醸成ができるわけではありません。実際、東大実行委員長鈴木雅映子も北京大実行委員長官楽も、数多くの日中関係のイベントに参加してきましたが、政治や歴史を含む、シリアスな日中間の問題を本音で話し合う場には遭遇しませんでした。出来る限り長い時間を共有し、シリアスな話題にも臆せず本音で話し合い、実際に現場を見、肌で感じてもらいたいと思いました。このような本気の付き合いが、相互理解と信頼醸成につながるのではないかと考えました。 - 京論壇2006概要
- 【期日】
- 各分科会報告
- <環境分科会>
北京では、参加者個人が興味を持つテーマ(日中の廃棄物リサイクル等)を発表し、両国の環境問題を取り巻く文科・歴史・地理・技術的な違いなどを実感しました。東京では、両国の環境問題を取り巻く要因の違いを比較し、実際に両国それぞれで環境問題にテイクアクションをさせるための課題や展望について話しました。
フィールドワークは、北京では日中友好環境保全センター・地球村(環境問題に取り組む農村)を、東京では川崎エコタウン・国立環境研究所・霞ヶ浦あさざプロジェクト・お台場などを見学し、環境問題をとりまく環境の違いを実感しました。
<歴史認識分科会>
北京では、参加者のアイスブレーキングを目指し、両国関係史に残るいくつかの事件を取り上げ、その事件に対するお互いの認識を話し合いました。そこから両国間で初歩的な段階から違いが見られ、東京ではこうした違いの生成や影響、およびそれらの社会的背景について議論を重ねました。話し合いの末に、第二次大戦時に両国間で起きた不幸な歴史が今日ではどのように継承され、如何に人々の相手国に対する認識を左右しているかについて意見をまとめました。
フィールドワークでは、歴史認識の継承に強い影響を与える現場の雰囲気や状況について、初歩的な理解を得ることを目的とし、高校や、歴史研究専門の大学教員、大手新聞社などを尋ねました。
<経済分科会>
北京では日本が直接投資によって設立した2つの工場を見学しました。一方では、日本では製造を中止している旧型テレビの製造を、他方では、中国での販売と共にR&D(開発)を行っていました。また中国で近年盛んなIT起業の代表格である「百度」と「千像」で中国での今後の戦略を伺いました。他にも中国商務部の方のお話からは中国官僚が描く将来図を知ることが出来ました。
日本では北京で見学した工場の本社を訪れて海外戦略を伺いました。また、経済産業省や学者から見た、これからの日中経済関係についても話をきくことができました。さらに、中小企業を訪問し、技術やその生かし方についての展望を知りました。
<安全保障分科会>
まず議論を始めるにあたって、アイスブレーキングとして両国の印象や戦争観・安全保障観を自由に話し合いました。議論をフェーズ1~3に分け、フェーズ1では中国における日本脅威論、日本における中国脅威論を、フェーズ2では日中関係に現在横たわる具体的事例(台湾問題・エネルギー問題・北朝鮮問題)を話し合い、最後にこれらを受けてフェーズ3として信頼醸成への道を模索しました。
北京では、二十時間以上にわたる議論に加えて二人の国際関係学院教授の講義、中国社会科学研究所の訪問と講演、盧溝橋と抗日戦争博物館の見学、また両国の文化に精通する学生との交流会が行われました。
東京では、さらに二十時間以上の議論のほかに、東京大学法学部の高原明先生、藤原帰一先生の講義、外務省訪問などを行いました。
