こんにちは、Social Mobility分科会東大側参加者の照井敬生です。
この記事では、私たちが9/7-9/14に北京で行った当分科会の議論について、自分なりにまとめて紹介したいと思います。
北京側で僕たちの分科会が行った議論は、Social Mobilityを規定するものとして、Social Classを決定づける要素の定義から始まりました。その結果、教育と仕事こそが重要だという合意に至り、そこから具体的なトピックとして、
1.大学前教育(Pre-University Education)、2.大学教育(University Education)、3.就職活動(Job Hunting) の三点について、日中の現状共有と問題点のあぶり出しを行いました。そうした現状分析に大いに役立ったのが、One day tripで訪問したTeach For Chinaでのレクチャーとディスカッションであり、教育の地域格差を巡る日本とはまた違った中国の現状について知見を得ることが出来ました。
一方で、Social Mobilityについて現状分析を行う中で、「北京大学・東京大学という立場にいる自分たちには見落としている問題が現存しているのではないか」という疑問とも向き合うこととなり、これは東京セッションにおける課題として共有されました。
以上が北京セッションの議論内容についての概略です。
このように大まかな流れを書いてしまうと、非常に平坦ないしは滞りない議論に思えますが、こうした議論全体のフレームワークを形成するまでにも、実は大変な時間と労力を費やしました。
議論そのものを始める前に「議論をいかに進めるか」という所から合意を取り付けなければならない。これも国境をまたいだグループ討論ならではの難しさであり、同時にやりがいのある点だと思います。
議論全体をいかに組み立てるか、という問題を考えるにあたっては、相手の構想をくみ取る理解力と自分の考えを伝える説明力が非常に重要であり、そうした困難で面倒な議論に対して、粘り強くコミットすることの重要性を学べたのが、個人的な収穫の一つです。
どちらも客観的な事実を巡る問題ではなく、「自分が何を重視するか」という主観・価値観を巡る議論であったため、はっきりと答えを出しにくく、それ故に議論をする価値のある問題だと言えます。
こうした北京セッションでの活動を経て、二週間後に開かれる東京セッションにおいては、
1.北京で確立された全体構造に従って、「職場での評価システム」「ジェンダー」といった新しい問題について議論を行う
2.社会階層を巡る現状分析を行うにあたって、自分たちの立ち位置について批判的に検討を行う
3.各個人が持つ価値観の差異が鮮明になるような問いを立てて議論を行う
といった三点を意識したうえで、より一層議論を深めていきたいと考えています。
今後とも京論壇2015の活動にご関心を持って頂けると幸いです。
照井