イギリスのEU離脱やトランプ大統領の当選……
「ポピュリズム」とも称されるこの世界的な潮流は、一部のエリートの支配に対する抵抗とも言えるでしょう。
いまや社会階層間での分断は決定的なものになってしまったかのように見えます。
社会全体のことを考えて行動するというエリートの存在を、なおも構想することはできるのでしょうか?
それとも、民主主義のあり方に反した時代錯誤的な発想なのでしょうか?
エリート主義に対する認識は、日中両国でもそれぞれ異なる歴史的変遷を辿ってきました。
その違いを見据えつつ、エリートと社会の健全な関係のあり方を探ることがこの分科会の目的です。
大衆社会論など、このテーマについては幾多の思想家や学者が既に繰り返し論じてきました。
過去の文献を十分に読み込み、その知見を踏まえた地に足の付いた議論を心がけます。
そしてそれと同時に、セッション期間中はフィールドワークを重ねることにより、単なる机上の空論になることを避けたいと思います。
相手国を直接訪ねられるという京論壇の利点を生かし、政治やジャーナリズム、市民社会などの各アクターにインタビューを行う予定です。
現代社会への鋭い問題意識を持ったみなさんの参加をお待ちしています。
エリート主義分科会東大側議長 松熊俊樹