(国家政策と正義分科会 谷聡介)
9月の北京セッションはオンライン開催となりましたが、東京側では対面参加を希望するメンバーで集まって泊まり込みでセッションに参加したので、議論以外にも多くことについて話をすることができました。毎晩のように夜遅くまで、分科会を問わず他のメンバーと顔を突き合わせ、国際関係における正義からジェンダー問題、教育格差、お互いの個人的な事柄に至るまでありとあらゆることを話し合ったことは、このセッションの中でも極めて鮮烈な記憶として残っています。例えば、
「たとえ途上国に貧困下にいる人がいたとしても、その人が生活に満足しているなら救わなくても良いのではないか?」
「異文化間の真の相互理解は可能なのか?」
「偏差値至上主義的な価値観がもたらすものは何か?」
こういったことを夜通し議論するわけです。(ちなみに、私は貧困者はたとえその人が満足していたとしても、国内・国外問わず救わねばならないと思っています)
このことを通して、友人の価値観や考え方をより深く知ることができたほか、対話の中で相手をいわば鏡として、自分の価値観をより正確に把握するという得難い経験をすることができました。そうであるためにより一層、北京大学のメンバーと実際に会って言葉を交わせなかったことが悔やまれます。2月の東京セッションでは、ぜひとも北京側と対面で議論をしたいです。
とはいえ、対面でセッションができるかどうかは京論壇の一存で決められることではないため、ほかに期待していることについて書きます。
京論壇に期待することのもう一つは、OB・OGと幅広く交流する機会をもっと設けてほしい、ということです。京論壇には、1年生であれば文一から理三まで、そのほかにも学部や専門分野を問わずありとあらゆる人がいます。そのため、OGやOBの方々も多種多様で、多くの分野で活躍しています。先日もOB・OGの方々との交流会がありましたが、自分たちがセッションで行ってきた議論について非常に的確なアドバイスをいただき、さらに多くの興味深いお話を伺うことができました。今後もそういった方々との交流の機会があれば、きっと自分の視野を広げ、将来の進路を決める一助になるはずです。
以上のように、OB・OGとの交流について書きましたが、実際のところ、これは京論壇に求めるというよりもむしろ私が主体となって実行すべきことなのだろうと思っています。京論壇には東大の中でも非常に優秀な方々がそろっているため、この恵まれた環境の中に身を置きながら受動的にチャンスを待っているというのは、あまりにも勿体ないのではないかと思うようになりました。京論壇は、様々な知的刺激に満ちた高度な議論コミュニティです。この環境を最大限に活用しないわけにはいきません。