京論壇2021は「国家政策と正義」「現代社会における消費文化」「権力とコトバ」の三つの分科会になります。ここでは、分科会ごとのテーマ概要とメンバーを紹介します。
分科会1:「国家政策と正義」Public Policy and Justice
生きている限り、我々は様々な国家による政策の影響を受ける。しかし、国家による公共政策とは本来国民の生活·福祉を保障する役割や、格差是正の役割が期待されているにもかかわらず、現実には数々の格差·社会不安が生まれている。それは特にコロナによって浮き彫りになったはずだ。
こうした現状を踏まえ、我々はここで国家政策を考え直す必要があると主張する。国家政策は何のためにあるのか、それは何を根拠に成り立つのか、またそもそも国家政策はどこまで平等を目標とすべきか…所謂国家政策が我々の生活に介入する「正義」とは何かを考えたい。
テーマは大きく、①福祉関連政策、②教育政策、③人口政策、④コロナ政策の4つに分かれており、①②で網羅的に我々の一生に関わる政策について検討したのち、それを踏まえつつ③④を検討する計画である。
【議長】
劉嘉林 工学系研究科都市工学専攻都市計画コース 修士1年
【メンバー】
小林タバサ 公共政策大学院国際公共政策コース 修士1年
大木有容 法学部 3年
渡邊晃大 教養学部文科二類 2年
谷聡介 教養学部文科一類 1年
分科会2:「現代社会における消費文化」Consumer Culture in Modern Society
現代の資本主義世界は、すなわち大量消費社会でもある。ここにおいて、もはや私たちは自分たちが生きていくために必要なだから、消費しているわけではない。他人との差異化への志向や属する社会や文化からの影響との相互作用系の中で、商材の持つ「記号」を求めて消費しているのだ。
本分科会ではこの前提を踏まえたうえで、現代の日本と中国の消費文化を比較しながら、検討する。特にサブカルや消費スタイルなどにおける両国の違いの源泉や、共通項がどこにあるのか、探っていく。
また、現代の消費社会は、インターネット技術の発展と密接不可分でもある。EC市場はまたたくまに巨大化し、コロナ禍でこの動きは促進された。こういったインターネット消費におけるプライバシーなどの課題にも相対してい行く。
以上を通じて、現代の消費社会をどう生き抜いていくか、ともに考え、議論していきましょう。
【議長】
五百旗頭アレン 経済学部3年
【メンバー】
黎子静 総合文化研究科広域科学専攻 修士2年
岩元勇都 教養学部理科3類 1年
藤城正樹 教養学部理科三類 1年
高澤美優 教養学部文科三類 1年
分科会3:「権力とコトバ」Power and Discourse
ディスクールは権力を生み出す。——フーコー
意識の払われない「余白」には、目に見えない権力が常に存在している。たとえ意識していなくても、私たちの一挙手一投足は止め処なくこれらの既成権力によって規制を受けている。私たちの思考や価値観もまた、構造的な社会的言説によって常に影響を受け、さらには変容させられている。
「女性らしさ/男性らしさ」などの形容を受け入れ、父権社会の是非を問わない。ビッグデータの流れに沈み、遠ざかる声が聞こえない。
商品を自由に選んでいると信じ込み、与えられた選択肢に囲まれているだけだと気づけない。私たちが自主的に「考えている」ものは、「考えさせられたもの」に過ぎないかもしれない。
本分科会では、解釈·暗示·規律などを通して、強力な言説作成者のイデオロギーが変換され、最終的に言説の権力を生み出すという自然な因果関係として表現される現象について議論される。
主としては①プロパガンダ/政治 ②カルチャー/文化 ③インターネット/媒体 ④ジェンダー/性 という4つの次元から、見えないところに潜んでいる言説的権力を発見し、脱構築する予定である。
【議長】
田雨昕 教養学部文科一類 2年
【メンバー】
島田久弥
後期教養学部教養学科地域文化研究分科アジア日本研究東南アジア島嶼部専攻 4年
菅原紀香 文学部社会学専攻 3年
丸山晴樹 教養学部文科二類 1年
杉本遥 教養学部文科二類 1年