こんにちは。2024年度京論壇代表を務めます、東京大学教養学部文科二類2年の岡田智七永(おかだちなつ)と申します。昨年度は技術倫理と情報化社会の分科会で活動していました。夜を徹して価値観をぶつけ合ってできた絆、思考を正確に言語化することへの飽くなき追求、自分の思考の枠組みを更新していくための心構え…。2023年度の活動で得たものは大きく、私のなによりの財産となりました。一方で「もっとこういう議論がしたい」「京論壇だからこそできることって何だろう」という思いも膨らみ、2024年度の代表を務めさせて頂くことになりました。
私は、他のどのゼミでもなく京論壇だからこそできる議論があると思っています。全く異なるバックグラウンドをもつメンバー同士がぶつかり合うことで浮き彫りになる価値観の違い。その違いと正面から向き合って「相互理解」と「信頼醸成」を目指すこと。社会経験もなく学者でもない学生による議論でも、ここだけには揺らぎのない価値があります。
今年度の方針は大きく二つ。
まず、理解してもらえないのではないか・バカにされるのではないかといった恐れに呑まれず自分の考えを話せる、安心感のある議論の場を守ること。こういう類の恐れは人が人と向き合い続ける限り、消えません。それでも、「私もこの人も、恐れを乗り越えて言葉を発している。その姿勢を尊敬するから、全力で受け止める。」という意識を全員が共有しているあの空気が、京論壇の色々な特徴のうち、私の一番好きなところです。政治・経済・対日/対中感情等を論じようと思うと、感情がゆさぶられる場面が何度もあります。それでもこの安心感があるからこそ、思い切ってぶつかれる。今年度も私たちは、この安心感を大切に守ってゆきます。
二つ目は、メンバーの一人ひとりが、京論壇がこれまで積み上げてきたものの上に立つこと。京論壇がどんな背景で生まれたのか・これまでの参加者たちはどのような学びを得てきたのかをしっかりと共有することで、参加者には組織としての積み上げの上に自分自身の学び・気づきを重ねてほしいと考えています。当然のことに聞こえるかもしれませんが、北京大学における京論壇の体制が東大側と大きく異なり、年を重ねて続く学生団体というよりは「一年きりのプログラム」であることから、過去の参加者たちの体験や京論壇の歴史を知る機会が乏しい状況がありました。今年度は京論壇 約20年の歴史の積み上げを再確認し、より深みのある活動を目指します。このページをご覧の皆様も、ぜひトップページの「これまでの活動」から各年の活動報告書を開いていただければと思います。
こうした思いをもとに、2024年度も京論壇は歩みを進めます。少しでも関心を持って頂けたら、この上なく嬉しいです。最後になりましたが、これまで京論壇を支えてくださった先生方・先輩方・協賛の皆様に心からの感謝を申し上げます。これからもご支援・ご協力のほど、どうぞ宜しくお願い致します。
京論壇2024代表 岡田智七永